人はこうして沼に溺れる。

沼に堕ちていく哀れなオタクの姿を晒すブログ。明日海りおさんをきっかけに宝塚歌劇を観るようになり、今は再演1789をきっかけに堕ちた加藤和樹さんの沼から抜け出せない日々を送っています。

東宝版「1789」感想6

 

ソレーヌ・マズリエ(ソニン

 

宝塚版と東宝版で大きく印象が変わる登場人物。

どうしても男役の出番を多くせざるを得ない宝塚で

1789を上演するにあたって、一番割を食った人。

 

ロナンの妹であり、パリに来てからは

革命の考え方に触れながら、ダントンと愛し合う。

見た目も、考え方も、それに伴う行動も、

劇中の2時間半で大きく変わっていく。

 

ソニンさんが初演の時に書いたブログを読んで

初めて気づいたんですけど、ソレーヌがいなくても

1789の物語って成立するんです。

ソレーヌがいなくてもロナンは革命に身を投じるし

それはダントンもそうだし、パン屋襲撃の場面が

なかったとしても、物語はバスティーユ襲撃

7月14日に向かって進んでいく。

 

それなのに、「別にソレーヌいなくてもいいじゃん」と

ならないのは、彼女が当時の民衆を体現するような

人物としてしっかり存在感を出していたから。

場面場面でソレーヌの感情や今の状況を

しっかり描き出していた演出と、

ソニンさんの演技力あってこその存在感だったと思う。

「世界を我が手に」のあとの観客の拍手は、

いつ見ても劇中で一番大きかった。

 

マズリエ家って基本的に血の気が多いんだけど(笑)、

でもボースにいる頃のソレーヌは弱弱しかった。

パリに行ったのも、彼女自身の行動力というよりは

父に死なれ兄に置いていかれた絶望ゆえというか、

ボースにいても何もできないし、生きるために仕方なく。

 

「夜のプリンセス」では、彼女の絶望と諦めと孤独が

強く感じられた。

この曲を歌っている間、ロナンがずっと舞台上にいた

宝塚版と違って、東宝版はロナンが途中で捌けるけど、

それでもこれは自分の現実を兄へまざまざと見せつける

曲になっていると思う。

 

ダントンへの思いも、最初は娼婦として付き合っている感が

あったし、「彼らの言う理想の世の中なんて絵空事よ」と

言っているけど、だんだん本当のカップルになっていく。

ほんとに、ソレーヌの彼氏なんてダントン並みに強くて、

包容力があって、ヘタレにもなれる(笑)人じゃないと

つとまらないと思う(笑)。

きっとソレーヌはダントンの熱さと芯の強さに惚れたんだな。

わたしはこのカップルが好きなので、

サイラどころかその前のシーンから二人を

オペラグラスで追い続けていました(笑)。

二人でずっといちゃいちゃしてるんだ~~カワイイ。

 

パン屋襲撃のところも、ソレーヌ頑固だから、

納得してパン屋と仲直りするまではダントンも

険しい顔してるし強い口調なんだけど、

終わった途端ソレーヌが泣きそうな顔になって、

それを見たダントンも優しい顔で背中よしよし

しながら捌けていくんですよ~~~~~

あー、ダンソレ尊い

 

そういえばかーくん(加藤和樹)はブログで

「ダントンはソレーヌのこともあるから

 他の革命家とは違った感情で接していた」

というようなことを書いていましたが、

いいですね、妹の彼氏を見て動揺するロナン(笑)。

今思うと、ロナンとソレーヌがパレ・ロワイヤルで

再会する場面、ロナンはソレーヌが娼婦に

なっていたこともだけど、彼氏ができていた

(しかも自分の知っているひと)ことにも結構

ショック受けてたんだなって(笑)。

そういう関係性の一つ一つが、今思い出しても

とっても愛おしいです。