人はこうして沼に溺れる。

沼に堕ちていく哀れなオタクの姿を晒すブログ。明日海りおさんをきっかけに宝塚歌劇を観るようになり、今は再演1789をきっかけに堕ちた加藤和樹さんの沼から抜け出せない日々を送っています。

東宝版「1789」感想3

 

ロナン・マズリエ(加藤和樹小池徹平)

 

行動力と勇気のある人。

台詞のとおり、不器用なのかもしれないけど

自分で進むべき道をしっかり考える人。

 

不器用な男っぽさがよく出ている点で、

個人的には和樹ロナンの方が好きです。

真咲さんのロナンが「前向きさ」が

出ているのに対して、和樹ロナンには少し

「卑屈さ」があるんですね。

こういうロナンもあるのか!と思って

初めて帝劇で観た時は衝撃を受けました。

 

真咲さんが自家発電タイプだったように、

徹平ロナンも持ち味的に割とそんな感じで

だからこそ渋く土臭さの光る和樹ロナンが

新鮮に映ったのかもしれません。

 

宝塚版にはない「革命の兄弟」。

ロナンがデムーランやロベスピエールと出会い、

彼らの考え方に触れ心をひらく大切な場面。

「俺にも幸せ求める権利がある

 やりたい仕事に就く権利がある

 誰が誰を好きになってもかまわない」

この歌詞が、このあとの物語の芯を表していて

とても心にしみます。

この時からすでにロナンは革命の趣旨に沿った

思想を心の内に秘めていたんだとわかります。

それを革命家たちに引き出してもらった。

 

ちなみにここ、

「君も新聞を読むのか?」

「バカにすんな!俺だって字くらい読めんだよ」

というくだりがあります。

この数行の台詞に、この時代のフランスの現状と

平民にも階級の差があるという状況、

意識せずとも見下しているプチブルジョアたち…

と様々な状況をわたしたち観客に示しています。

「革命の兄弟」は曲としても大好きですが、

そういった深い意味を持つ場面としても

とても印象深い場面で、大好きです。

 

ところがパレ・ロワイヤルで捕まって投獄され、

ペイロールに拷問を受けながら

「彼らは金持ちの息子たちだ、

 お前の気持ちなんてわかるはずない」

という洗脳をされかけます。

この洗脳が、「自由と平等」に繋がっていくんですね。

 

そういえば、パレ・ロワイヤルで寝泊まりを

しているのはわかっていましたが、

王妃とフェルゼンの逢瀬に遭遇した夜は、

ソレーヌが夜の女になっていることを知って

やけ酒して酔っぱらって寝ていたんですね。

だから王妃に絡んでいってしまう、と(笑)

ソレーヌにはいずれ遭遇していたかもしれないけど

ダントンが意図せずとも引き合わせたわけで、

この事件は間接的にはダントンのせい…(笑)

 

 

 

ロナンの気持ちにはこの2時間半の中で

様々な流れがあって、革命への気持ちと

オランプへの思いが交錯していく。

最終的にはどちらも手に入れられるけど…

 

宝塚版では最初バスティーユの場面から

始まって、ボースの場面に遡りますが、

東宝版はいきなりボースから始まります。

だからまっさらな気持ちで見ると、本当に

どうなるかわからない。

もちろん結末は知っているけど、

ボースから世界観に入り込んでいると

最後バスティーユの陥落を見届けて

感動して、希望に満ちたところまで行って

ロナンが死んでしまうので、

その分絶望も大きいのです。

革命家たちの気持ちにより寄り添えるというか。

 

ロナンとの出会い、そして死が

革命家たちにどういう影響を与えたのか。

それは革命家たちのところで書きます。